ヘッドライン、広告を書く前に答えるべき3つの問いについて知っていますか?
- この市場を動機付けている大衆欲求はどんなものか?(大衆欲求)
- あなたの商品がどのように大衆欲求を満たすかを、その市場の人々はどの程度知っているか?(商品認知度)
- 市場の人々は、これまでどのくらいの類似商品を見聞きしてきたか?(市場の成熟度)
1と2については以前の記事で紹介しています。
なので今回のテーマは3、市場の成熟度です。
市場の成熟度はひとことで言うと、
「見込み客が広告にどれだけ飽きているか」になります。
これを意識することができれば、
- ヘッドラインがうまく書けない
- 広告全体でどんな訴求をすればいいのかわからない
- 見込み客の何を意識すれば反応がとれるのか知りたい
といった悩みは解消され、こうやればいいのかという道筋ができあがります。
見込み客が広告に抱いている状態によって反応がとれるメッセージはガラっと変わるので、これからお話する成熟度の各段階をあなたの広告制作に取り入れてください。
市場の成熟度=見込み客の広告に対する擦れ具合
市場の成熟度はヒット率脅威の85%の実績を誇る伝説のコピーライター、ジーン・シュワルツが提唱した広告理論の1つで、”見込み客が広告に対してどれだけ純粋な気持ちを持っているか”を基準にしたフレームワークです。
初めて見るような商品なら新鮮に感じ、時間が経って繰り返したり競合が同様の広告を出すとだんだん「またか・・・」と擦れていく。
そんな広告に対する新鮮さや擦れ具合を5段階に分けて、それぞれの段階ごとに適した有効なアプローチをすることを目的としています。
例えばあなたが初めて「1日で1冊を読める」という速読の広告を見たら気になるはずです。
でも、実際には今まで似たようなものを繰り返しみせられてきているので「1日1冊」と言われてもすでに興味を持たないでしょう。
じゃあどうするか、という答えを見つけることを手助けしてくれます。
その結果、今まで適当に想定していたメッセージが刺さるメッセージ変身してくれます。
市場の成熟度の全体像
状況 | アプローチ法 | |
---|---|---|
成熟1段階 | 市場で初の商品 | シンプル・ストレート |
成熟2段階 | 市場で2番手、3番手あたり | うまくいっている主張を大きくふくらませる (商品がどれくらい機能するのか?) |
成熟3段階 | 2段階の誇大広告への反発後 | 商品がどのように機能するのか? 機能する新しいメカニズムを重点的にアピール |
成熟4段階 | 3段階の新しいメカニズムが出てきた後 | 新しいメカニズムをステップアップ |
成熟5段階 | 広告全体への反発 | 商品認知度1:クライアントが商品への欲求も問題の認知もないときのアプローチと同じ |
成熟の第1段階:市場で初めての商品
市場の成熟の第1段階は、商品が史上初な場合です。
この場合、全く未成熟なクライアントを相手にすることになるので、アプローチ方法はシンプル・ストレートでOK。
一旦興味をもたせることができれば、割と簡単に商品に夢中になり、話を信じ、喜んで買ってくれる。すべてが目新しいから。
このパターンに該当する商品は、画期的な新商品、劇的に改善された商品、あるいはすでに知られた商品が破格の値段で売られるケース。
例はレッドブル。
レッドブルはそれまでになかったエナジードリンクという市場を開拓しました。
ぶっちゃけそれまでに栄養ドリンクという似たような商品はありました。
でも、レッドブルは栄養ドリンクとして出さずに炭酸を入れパッケージを若者向けにしエナジードリンクというスタイリッシュなイメージと「翼を授ける」というキャッチコピーで売り出した。
結果、大成功。
「翼を授ける」
シンプルですよね。
成熟度1ではこのようにシンプルなメッセージでアプローチします。
こうやって1社が儲け始めると、他社が真似をしてきます。
そして似たような広告が溢れ、ストレートな主張では効果がなくなる。
市場は成熟の第2段階に入っていきます。
成熟の第2段階:市場で2番手、3番手の場合
市場の成熟第2段階では、1で成功したヘッドラインの主張を真似しつつ、さらに大きな効果をアピールし、競合の上をいくようにします。
例えば、「1日1時間で月10万円の副収入が手に入ります」という広告が1段階でヒットしていたとします。
そしたら第2段階では「1日10分で」とか「月100万円」という具合にレベルアップさせていきます。
もちろん信憑性や法律、現実性でギリギリを攻める必要があり、嘘は許されません。
このように主張を盛るテクニックはいずれ限界を迎えます。
競合も盛ってきますので。
そうやって限界が来て、見込み客が広告を信じなくなり販売は低下していく。
これが2段階の末期で3段階に突入するサインです。
成熟の第3段階:同じような広告が溢れかえっている場合
第3段階では見込み客はすでにあらゆる主張をあらゆる誇張を聞かされていまる。
見込み客はスマホを見るたびに似たような広告を目にしている。
このような擦れて、信じなくなった見込み客にどうすれば自分の商品を競合と区別してもらえるのでしょうか?
どうすれば壁をぶち壊して届ける事ができるんでしょう?
第3段階の市場では広告を信用していない。
「数週間で10キロ痩せられる」
「1日10分の副業で月10万円」
「1ヶ月で髪がふさふさに」
などと言われても「はいはい、嘘乙」と真に受けない。
はなから疑ってかかり、新商品を試す気にもならない。
ただ、欲求は消えていません。
「もし本当に叶うなら・・・」という希望は抱き続けています。
彼らが求めているのはなにか。
それは、
「欲求を満たす新しい方法を約束する新しい商品、新しいヘッドライン」
です。
3段階目の市場ではこの事実を元に考えていきます。
必要なのは今までの主張を、再び新鮮で信憑性のあるものに生まれ変わらせる新たな工夫、つまり新しいメカニズム、新しい手法、新しいプロセスです。
2段階目までは「どんな働きをするか」を訴求ポイントにしていましたが、3段階目では「どのように働くか」に変わります。
成果はあって当たり前。
それを達成するメカニズムを重点的にアピールします。
Before:1日1冊読めました・・・苦労せずに
After①:脳科学を使って上位1%の知能に
After②:右脳活性化で本を写真のように記憶する
このように結果よりもそこにいたるユニークな過程をアピールしていきます。
結果はその後のボディコピーで言及する。
これが第3段階の訴求です。
成熟の第4段階:第3段階の広告が増えてきたあと
広告の宿命ですが、第3段階もすぐに真似され始めます。
そうすると第4段階に移行します。
ここではまた、競合を超えるように内容を盛っていきます。
ただし、今回は主張ではなくメカニズムのほうを。
成熟度2では10日で5キロ→3日で5キロのように主張をレベルアップしました。
でも、成熟度4段階目ではメカニズムのほうをバージョンアップします。
より簡単に、より確実に、より早くといった具合に。
今までの欠点をなくしたり、追加の特典をつけたりします。
残念なことに、成熟度4も行き着く先は同じ。
信憑性や現実味の限界を迎えます。
そして第5段階に突入します。
成熟の第5段階:見込み客が広告へ疲れた状態
いよいよ成熟の最終段階です。
見込み客は、もう広告を信じようとはしません。
新商品を買おうとしない。
では、どうするか。
約束もダメ、メカニズムもダメときたら最後は見込み客自身の話をするしかなくなります。
実はこれ別記事で紹介した商品認知度の段階1の状態と同じ。
収入が上がらないのは「知識不足」
女の子と話が盛り上がらないのは「息が臭いからかも」
太っているのは「いつも文句言ってくるムカつく上司のせい」
といったように見込み客の生活、習慣から抜き出したシーンを使います。
こうやって興味を持ってもらい商品へ誘導する。
これが成熟度5の段階の解決策です。
当然のように一番難しいですが、セールスライターとしてやりがいのある仕事です。
まとめ:ヘッドラインを書く前に成熟度を見抜く
広告全体、ヘッドラインで何を言うか、どんな訴求をするか。
その際にこのフレームワークを使えば何を強調すればいいのかがわかります。
第3段階ならメカニズム
第5段階なら見込み客の話
といったように。
せっかく書いたのにスルーされる
といった悲惨な事態を防ぐためにも、最初の段階で成熟度を見極めるクセをつけましょう!
状況 | アプローチ法 | |
---|---|---|
成熟1段階 | 市場で初の商品 | シンプル・ストレート |
成熟2段階 | 市場で2番手、3番手あたり | うまくいっている主張を大きくふくらませる (商品がどれくらい機能するのか?) |
成熟3段階 | 2段階の誇大広告への反発後 | 商品がどのように機能するのか? 機能する新しいメカニズムを重点的にアピール |
成熟4段階 | 3段階の新しいメカニズムが出てきた後 | 新しいメカニズムをステップアップ |
成熟5段階 | 広告全体への反発 | 商品認知度1:クライアントが商品への欲求も問題の認知もないときのアプローチと同じ |
今回紹介した市場の成熟度はジーン・シュワルツが「大衆心理と広告技法」の中でさらに詳しく解説しています。
ここまでの内容だけでも十分に実践で使えるものですが、原典を知りたいなら購入をおすすめします。
市場の成熟度以外にもセールスライターにとって有益な情報が詰め込まれいますので。
Amazonで売っているので買ってみてください。